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アリスの魔法/フランチェスカ・ヘイワード

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 またアリスかと言われそうですが、またアリスです。「また」を承知で紹介せずにはいられない舞台でした。
 今回の主演はアリスがフランチェスカ・ヘイワード、ジャックがワディム・ムンタギロフ。ムンタギロフは言うまでもなく人気実力とも抜群のプリンシパルですが、今日の焦点はフランチェスカ・ヘイワード。私は普段はダンサーを姓で呼ぶことがほとんどですが、彼女はフランチェスカと呼ぶことにします。ヘイワード、では彼女の印象が損なわれてしまいます。

 このフランチェスカ、昨年の秋にマノンで鮮烈な主役デビューを果たした22歳の若手です。彼女は現在、ロイヤルバレエで五つあるランクのちょうど真ん中、ソロイストというクラスにいて、マノンを踊ったのは大抜擢といっていいキャスティングでした。が、その舞台を見て、たまたま隣の席に座っていた知り合いと二人で言葉を失ってしまいました。しなやかな踊り、舞台を完全に支配する存在感と若々しい魅力、そしてマノンにはなくてはならない残酷な無邪気さ。プリンシパルでもなかなかこうは踊れないというくらい、見事なマノンの世界を作り上げて、私は一夜にしてフランチェスカのファンになってしまいました。

 そんなわけで、今回の彼女のアリスの舞台は本当に楽しみにしていました。実はこの同じ日、別の会場ではサイモン・ラトルがロンドン交響楽団を指揮してストラヴィンスキーの春の祭典を演奏するという、普通なら万難を排して駆けつけるような演奏会があったのですが、それを蹴ってのフランチェスカ。この選択、報われました。

 フランチェスカのアリスですが、マノンのときと同じように、その小さな体から放たれる素晴らしい存在感で舞台をすみずみまで支配し、劇場全体が完全に彼女の魅力で満たされます。この魅力はもう天性のものとしか言いようがありません。フランチェスカが踊ると、彼女の中のいったい何が光っているのか、きらきらと輝くような雰囲気が彼女の周囲にこぼれます。彼女が踊っているのを見ていると、彼女からほとばしり出てくる喜びに満ちた輝きに飲み込まれ、切なくなるくらいに胸が一杯になってしまう気がします。これほどまでに観る者を酔わせるチャームをもったバレリーナというのは、そういるものではありません。フランチェスカの踊りには華があるという以上に輝きと魔力があります。まるで彼女の命そのものが輝いているように、舞台いっぱいに美しいオーラを放つアリスでした。

 私がフランチェスカの名前を認識したのは、一年前のくるみ割り人形でクララを踊ったときでしたが、率直に言って、そのときはそれほどの感銘を受けませんでした。それからほんの一年。いまや彼女は全く別のバレリーナです。恐らく彼女の中で開花を待っていた何かが、急に開き始めたのだろうと思います。上にも書いたとおり、彼女は現在ソロイストというクラスにいますが、これから彼女が上のランクに上がってくることは疑いの余地がありません。個人的な印象で言えば、彼女は「どこまで上がるか」ではなく、「いつプリンシパルになるか」というタイプのダンサーだと思います。フランチェスカが人の後ろで踊っているのはもうもったいない。早く上のランクに上がって、より多くの主役を演じてほしい。私にとってフランチェスカはそう思わせるダンサーですし、彼女の舞台を見た人の多くも同じ考えなのではないかと思います。


 他のキャストについても簡単に。ジャック役のムンタギロフはさすがの演技。彼の華やかさと落ち着きが同居したノーブルな雰囲気が、無垢なフランチェスカのアリスと素晴らしいコンビネーションを作り上げていました。技術的にも完璧な安定感で、意外に出番は少ない役ながら、見事な存在感でした。
 ハートの女王は、この役はデビューのクレア・カルヴァートで、ふだんは結構おとなしい印象の彼女がこの役にキャストされたのには驚いてしまいました。他の人を押しのける強さを特徴とする人ではないと思うのですが、意外とこの役をきっかけに何か変化を見せるのではないかと、そんな可能性を感じさせる演技でした。
 マッドハッターは先日のユフィさんの公演と同じドナルド・トム。この日はタップのリズムもずっと安定して、とてもいい出来だったと思います。
 水準の高い主要キャストに囲まれて、フランチェスカがその魅力を全開にしてみせた今回の舞台、これまで見てきたロイヤルバレエの舞台の中でも、屈指の印象の強さでした。

 いや〜、すごかった。

アリスの魔法/フランチェスカ・ヘイワード_c0249519_638234.jpg

by londonphoto | 2015-01-17 06:43 | バレエ