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A great day 〜 (3)

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 プレンツラウからベルリンに戻ると、夜はベルリンのフィルハーモニーに向かった。ここは言わずと知れた、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の根拠地。お目当ては当然、ベルリンフィルの定期演奏会。
 津上さんがご友人二人とここへ来る予定だったのが、たまたまそのうちの一人が来られなくなったということで、余ったチケットをちゃっかり私が頂いた。
 この日の指揮はマティアス・ピンチャー。初めて名前を聞く人だったが、作曲家としても活動している人らしく、この日のプログラムにも彼自身の新作が入っていた。

 私がフィルハーモニーへ来るのは実は人生で二度目。一回目は二十年近く前の、私の初海外旅行のときだった。さすがにこれだけ時間が経つと当時の印象がどうだったか、全く覚えていない。滞在が短かったこともあって、そもそも二十年前のベルリンの街の印象だってほとんど覚えていないのだけれど、当時フィルハーモニーの周囲にやたら工事現場が多かったということだけは今も覚えていて、二十年も経てば、当たり前ながら全く見覚えのない現代の大都市に変貌していた。

 ということで、とても新鮮な気持ちでフィルハーモニーを訪れた。このホールで特に印象に残ったのが、内装に気品があって美しいことと、さらに会場全体に親密な雰囲気と、そして何より音楽家への敬意が満ちていること。この場にいるだけで、自分が特別な空間に身を置いていると感じられ、おかげで演奏もとても居心地よく聴くことができる。

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 この日の曲目はフォーレの「ペレアスとメリザンド」の組曲(バレエに詳しい方は、バランシンのJewelsの「エメラルド」に使われている音楽というと分かりやすいかも)、指揮者自身が作曲した新作(ヴァイオリン独奏はルノー・カプソン)、休憩を挟んでシェーンベルクの室内交響曲2番と、ドビュッシーの海というプログラム。
 この日のベルリンフィル、木管楽器のトップ陣が素晴らしく、オーボエのマイヤー、クラリネットのフクス、ファゴットのダミアーノに混じって、昨シーズン引退したフルートのブラウが舞台に上がっていた。泣く子もだまるオールスター。彼らがフォーレやドビュッシーを吹いて悪かろうはずがなく、また近年とみに厚みを増している弦楽器の素晴らしい響きと、盤石の金管陣、鮮やかな打楽器群、どこをとっても見事と言うほかはない横綱相撲の演奏だった。

 ちなみにこの日の指揮者は、拍を一つ一つ置いていくように棒を振る人で、拍と拍の間が流れずに時間が止まってしまう。明らかに、音楽を豊かに歌わせる指揮をする人ではない。
 それでもフォーレはたゆたうような音楽なので、拍の停滞もまあ大きな問題とはならない。続く彼自身の作品は、旋律というよりは響きを置き連ねていくタイプのものだった。京都の龍安寺で石庭を眺めながら禅問答に耽るような、静かに張り詰めた空間を漂うような音楽だったので、彼自身の指揮と同じところから出てきたもの。シェーンベルクも、構成がしっかりした音楽なので、それなりに型にはまっていた。

 問題はドビュッシー。もともとドビュッシーの音楽は豊かな視覚的イメージを伴うものだけれど、ドビュッシーの視覚イメージというのは、特に「海」という音楽においては、静止画ではなく動画。ここにおいて、彼の指揮の特徴は致命的な欠陥となる。彼の指揮では、音楽が流れない。
 こういう指揮者のもとで、飛び抜けた実力を持つベルリンフィルが演奏をするとどうなるかというと、これがもう流石というか何というか、オーケストラが自力で音楽をどんどん流してしまう。音楽はきちんと淀みなく豊かに流れ、最後はなぜか凄まじい音楽の奔流。何となく指揮者が置き去りにされたような、完全にオーケストラの力で成立してしまった演奏で、改めてこのオーケストラの力量に圧倒された。

 よく考えてみれば私がベルリンフィルの実演を、アバドやラトルといった常任指揮者以外で聴くのはこれが初めてで、ベルリンフィルの定期演奏会となると、指揮者によってはこういう愉快なことも起こるのだと、私は素直にこの機会を楽しんだ。なぜこんな指揮者を呼んできたんだと怒るわけでもなく(彼の作品は、最近の流行のスタイルとはいえ、面白かったのだし)、むしろこれだけの演奏を聴かせてくれたベルリンフィルに感服。実力のある指揮者による演奏会だと、本当にすごいことになるのだろうなと思うと、これはときどきはベルリンへ遠征してこなければならない、などと皆で話をしながら会場を後にした。

 ついでに本音を言えば、この演奏会を聴いて、いつかベルリンに住みたいと私は本気で思ってしまった。ロンドンのオーケストラも、もちろん水準は高いけど、やはりベルリンフィルは別格、異次元。常に世界一の演奏を聴くことのできる生活には強く憧れる。私は資格という面では英国籍を申請できる条件は揃っていて、英国籍を取りさえすれば、(イギリスがEUを脱退しない限り)私もヴィザの面倒なしにドイツで働くことができる。
 日本政府は日本人が二重国籍を持つことを禁じているので、英国籍を取得すると日本国籍を放棄しなければならず、ついためらってしまうけれど、でもそのくらいの覚悟を決めて臨むべき人生の選択もあるのではないか。そんなことを夢想してしまうくらい、現地のベルリンフィル演奏会で受けた感銘は大きかった。


 この演奏会の後、津上さんと彼女のご友人と一緒にドイツビールで乾杯しながら、時間を忘れて話し込んだ。ベルリンの雰囲気もまたよかった。ロンドンよりずっと近代的で、ロンドン以上にさまざまな人種の人々が作り上げた街には、リベラルで挑戦と前進を是とする雰囲気が満ちており、例えばなぜこの国が難民問題で現実的な困難に直面しつつも受け入れのリーダーシップを取ろうとするのかといったことも、肌で理解できる。
 もちろんどんな国にもいいところと悪いところがあって、だからドイツも全て素晴らしいと手放しで褒めるわけではないけれど、少なくともこのベルリンという街には、他のどことも異なる芯の通った強さと魅力がある。
 新しく出会った人たちとたくさん話をし、ベルリンのエネルギーに触発される。ロンドンに移り住んで七年半。最近すこし自分自身が停滞気味だと思っていたが、そんな自分の壁の突破口を、このベルリン滞在をきっかけに見つけることになった。ベルリンもまた、私の大切な場所の一つに追加。

 いま思い返しても、一日でこれだけたくさんのことが起こったというのが不思議なくらい、濃密で決定的な影響力を持つ日だった。その前と後で世界が違って見えるほどの一日を経験できたというのは気分がいい。ベルリンから戻ると、忙しかった夏の締めくくりの出張を終わらせ、一週間の充電期間入り。
 時間をかけて、自分プロジェクトについて考え中です。




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 これまでの写真のうちのお気に入りをFlickrに載せています。
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by londonphoto | 2015-09-27 10:24 | ドイツ | Comments(0)
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