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夢を叶える年末年始 in ウィーン(4)~ クリムトの日々

 今回のウィーン滞在、楽友協会のウィーンフィルの演奏会が一回、国立歌劇場のこうもりが二回、そして同じ国立歌劇場でバレエ公演も二回というスケジュールで、ほとんど毎日のように音楽と舞台にどっぷりと浸っているのですが、浸っているのはそれだけではありません。
 ウィーンに来たらやはりクリムトを見逃すわけにはいきません。歌劇場の公演は夜ばかりなので、昼間は足繁く美術館に通っています。
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 最初に行ったのは美術史美術館。ここはヨーロッパで私が初めて訪れた美術館でもあります。当時は内装のあまりの華麗さに圧倒されて、これがヨーロッパというものかと、まさに世界への目を開くきっかけになったところでした。
 その美しさはもちろん今も健在。中に入ると、この美術館自体が展示品かと思わされるような壮麗さです。
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 この正面階段の壁には、クリムトの絵。恐らくは気付かずに通り過ぎてしまう人も多い気がするのですが、これが美しい。
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 美術品というのは写真では到底その魅力を捉えきれるものではありませんが、この壁画もそう。実物はもっと奥行きのある艶と深みのある気品に満ちているのですが・・・

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 美術史美術館には多くの古典絵画のほか、ブリューゲルのコレクションやフェルメールの「絵画芸術」などもあり、本当に充実した美術館です。しかし今回はとにかくクリムトの壁画に魂を奪われました。


 ウィーンで最も重要なクリムトのコレクションが見られるのが、ベルヴェデーレ宮殿のオーストリア・ギャラリー。
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 クリムトの絵のある一室は写真撮影禁止ですが、恐らくクリムトの全作品の中でも最も有名な「接吻」や「ユディト」がここにあります。(以下はネットから拾ってきたもの。)

「接吻」
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「ユディト」
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 ベルヴェデーレはクリムトを見るために二度訪れました。特に二度目は、開館と同時にクリムトの部屋に直行。ほんの数分間でしたが、他に誰もいない部屋でクリムトと静かに対面するのは、この上ない悦楽でした。

 私が特に好むのが「ユディト」です。ユディトはもともと旧約聖書に現れる、貞淑で信仰の深い女性なのですが、クリムトの描くユディトはまるでサロメのように妖艶です。美しい裸体を露(あらわ)にし、ホロフェルネスの首はまるでサロメの倒錯した愛の対象のヨハナーンのよう。
 実際の絵を見るとユディトの肌は驚くほど暗い色調で描かれていますが、それゆえに頬の紅潮が際立ち、忘我の恍惚境に陶然となるユディトの官能が手に取るように伝わってきます。
 ユディトの視線は、ホロフェルネスに対する倒錯した悦楽にひたっているようでもあり、彼女を見る私を精密に見通して計り取っているようでもあり、見下して睥睨しているようでもあります。
 その視線に見つめられて、私は自分の居場所が絵の右下にしかないことを理解します。絵を見る私は、ホロフェルネスなのです。
 背景にはリンゴの木や蛇のウロコ状の模様が描かれますが、恐らくは意図的に稚拙に描かれたこれらの背景は、アダムとイブの情景への、そしてそれらを誠実に描いてきた中世絵画への、嘲笑と皮肉に満ちたパロディのように私には見えます。クリムトにとっては、原罪とは人を縛る制約ではなく、そこにこそ人の美が生まれる豊穣の泉なのでしょう。

 この「美」というものに対する価値観の逆転は、ゼセッシオン(分離派会館)の「ベートーヴェン・フリーズ」にも現れます。ベートーヴェンの交響曲9番を題材にしたこの作品は4つの場面で構成されています。苦悩に戦いを挑む強者、詩の慰め、歓喜などの情景と並んで描かれる敵対勢力のグロテスクな絵があるのですが、全体をよく見ているうちに、この敵対勢力の絵が実はもっとも豊かな深さを持っていることに気付きます。

 ベルヴェデーレではクリムトと並んで、当時の代表的な画家であるエゴン・シーレやオスカー・ココシュカもたくさんありますが、クリムトの絵は気品の点で抜きん出ています。(成熟した女性の気品のある美しさを描かせて、クリムトの右に出る人はいないでしょう。)そのクリムトの作品に囲まれて美術館にたたずむのは、やはり至福と呼ぶほかない、素晴らしいひとときでした。






* * *

 これまでの写真のうちのお気に入りをFlickrに載せています。
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by londonphoto | 2016-01-02 23:00 | オーストリア